お出かけしよう。

冬の間は家にこもりがちになっていませんでしたか?いよいよ春です。密を避けながら外に出かけてみましょう。

水筒にお湯を入れ公園でお茶を楽しめば、あたたかな春の風に、こもっていた心も晴れやかになります。

ソーシャルディスタンスを保っていれば、ピクニックやハイキングで身体を動かすことは、免疫を高めることにつながるはずです。

お気に入りの服を着てアクセサリーで飾ったら、帽子をかぶり、バックを持って、さあお出かけしましょう。

参加作家

linenu works

tefhat

Atelier seisen

田中千晴

野点の道具

順不同・敬称略

展示概要

 タイトル :お出かけしよう。
 日時 :2021年3月17日(水)-3月30日(火)
 場所 :静岡伊勢丹 7階 ウェルネスパーク GOOD TEA LAB. the SHOP
     静岡県静岡市葵区呉服町1-7 / 電話054-273-4663
 主催 :GOOD TEA LAB.
 ホームページ : GOODTEALAB.JP
 メールアドレス : info@goodtealab.jp


一品更屋 静岡茶のサステナブル・デザイン アドバイザー受任

静岡伊勢丹、TEASONGSと共に「GOOD TEA LAB.」 を創立、運営する一品更屋は、するが企画観光局様の「静岡茶のサステナブル・デザイン」に関する事業のアドバイザーを受任することになりました。

静岡茶のサステナブル・デザイン

この事業は、静岡中部5市2町(静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町)の、より幅広い国や地域から来訪する観光客の受入れ基盤整備の必要性に対し、訪日外国人旅行者等の各地域への周遊を促進するための滞在コンテンツの充実、情報発信・プロモーション基盤の整備を行うことを目的としています。

具体的には、観光資源としての「お茶」の可能性を探るため、調査・評価を行い、それをコンテンツとしてまとめ、情報発信・プロモーションを行うものです。一連の活動を通し「お茶」におけるサステナブルをデザインすることが最終的な帰着点となります。

一品更屋は、他のアドバイザーと連携し、静岡中部5市2町のお茶に関連する観光資源の調査・評価を行い、それぞれの評価をブログで配信します。また、当事業のポータルサイトとも連動し、静岡中部の「お茶」の観光資源としての新たな魅力を広く情報発信いたします。

一品更屋概要

茶道文化を中心とした日本の伝統文化を現代に合わせて再解釈し、わかりやすく整理した上で紹介、日本文化を未来へつなぐことを使命とし活動を行う。「茶ガール」主催。
著書:一品更屋の現代茶湯「わび、さび、かわいい 茶ガールの休日」。

https://sara-ya.com

展示会 乙女心とお茶の味

乙女心は千変万化。変わる心に合わせて、飲み物も変えてみましょう。今年はお茶をトコトン楽しんでみませんか?

お茶の妖精、野点茶世子が案内する、心を潤すお茶の世界。心に良いお茶だけが集まる秘密のホーム・パーティー。

美味しいお茶を飲めば、それだけで心がタフィーピンクに染まります。今年も色々ありましたが「心に効くお茶」で来年に向けて活力をチャージしましょう。

静岡伊勢丹7階・ウェルネスパーク GOOD TEA LAB. the SHOP で、12月9日(水)から12月22日(火)までの2週間、「乙女心とお茶の味展」開催!

参加作家

小野穣
村山まりあ
藤本路加
Nicorico
青人窯
田中千晴
久野輝幸
Atelier seisen

百田ちほ(漫画「野点の茶世子ちゃん」作画)

順不同・敬称略

展示概要

 タイトル :心変われば、茶も変わる 乙女心とお茶の味
 日時 :2020年12月9日(水)-12月22日(火)
 場所 :静岡伊勢丹 7階 ウェルネスパーク GOOD TEA LAB. the SHOP
    静岡県静岡市葵区呉服町1-7 / 電話054-273-4663
 主催 :GOOD TEA LAB.
 ホームページ : GOODTEALAB.JP
 メールアドレス : info@goodtealab.jp


呉七クロッシング #3:呉服町 茶ベニュー その2

「ななや」の母体である丸七製茶は創業1907年なので、100年以上お茶を扱っていることになる。1988年に静岡で初めて抹茶を製造したとのことで、歴史がある中でも新しいことに積極的に挑戦する会社らしい。リーフ茶の価格が低下を続けていることを考えると、価格が維持できる抹茶をラインナップに加えることは経営的な安定をもたらすと言う利点もある。「ななや」店舗の名物は世界で一番濃い抹茶ジェラート。改革の積み重ねで商機を掴むスタイルのようだ。

ななや静岡店が青葉町から呉服町に移転したのは2020年10月、GOOD TEA LAB. the SHOP が静岡伊勢丹にオープンしたのが8月なので、今年後半、立て続けに2つのお茶のお店が呉服町にオープンしたことになる。呉服町がお茶のアベニュー=茶ベニュー化している。

ななや静岡店に入るとまず驚くのが、お茶のお店として頭に浮かぶ雰囲気とは真逆のスタイリッシュさだということ。GOOD TEA LAB. the SHOP がお茶のセレクトショップだとすると、ななや静岡店はお茶のスーパーマーケット。お茶関連の品物が壁面に所狭しと並んでおり、アメリカのスーパーマーケットを思わせる。

冷蔵コーナーが充実していることもスーパーマーケットっぽさを後押ししている要因の一つだろう。

なんと、一番茶を使ったペットボトルのお茶が!「茶摘みの朝月緑茶」という商品。飲んでみたが、普通のペットボトルのお茶では感じられない、ジャスミンティーのような香り高い味わい。

店舗2階はイートインスペースと、今はまだオープンしていないが、お茶のテイスティングコーナーがある。お茶をより美味しくいただくためにワイングラスで飲むという趣向らしい。確かに香りと味、色を楽しむためには、ワイングラスが合っているように思える。ただし冷茶に限るか。

このお店に来たからには食べておかなければいけないもの。それが「世界一濃い抹茶ジェラート」。濃さの段階が選べるが、一番濃いものを注文する。確かに「濃い!」。店内で食べるのも良いが、晴れていれば近くにあるハニカムスクエアで食べたい。外で食べるお茶スイーツはまた格別なのだ。

魅力を増す、呉服町 茶ベニュー。次回は「MARUZEN Tea Roastery」を紹介したい。

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

ななや 静岡店

静岡市葵区呉服町2丁目5-12
11:00~19:00
ななや 静岡店

呉七クロッシング #2:呉服町 茶ベニュー その1

ニューヨークを地図で見ると南北に走る通りがアベニュー、東西に走る通りがストリートとなっている。静岡市にこれを当てはめるのはなかなか難しいが、駅から北西側に伸びる道がアベニュー、北東から南西に伸びる道がストリートという関係だろう。

御幸通りや人宿町が御幸アベニュー、人宿アベニュー、江川町通りや本通りが江川ストリート、本ストリートになる。駿府城を中心に考えるとアベニューとストリートの関係は逆になるが、繁華街の形を見ると駅中心の方がしっくりくるように思う。

GOOD TEA LAB. the SHOP リアル店舗がある静岡伊勢丹。その静岡伊勢丹・玄関前の交差点を走る2つの通り、呉服町と七間町を上の関係に当てはめると、呉服アベニュー、七間ストリートとなる。七間町がアートの町と考えるとストリートと言う呼び方は違和感がない。CCC(静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター)以外にもギャラリーのようなものが増えれば、盛り上がって来るような気がするのだが。

さて、呉服アベニューである。人通りが多いとはいえ、駅前に商業施設が集積したため、若者を中心とした往来客は最盛期より減少している。そのためか空き店舗も増えており、少し寂れた雰囲気も生じている。

静岡伊勢丹に訪問することが増えたこともあり、よく呉服町を通るのだが、意外に目につくのがお茶屋さん。2020年8月にお茶が中心のライフスタイル・セレクトショップ「GOOD TEA LAB. the SHOP」(私たちの店)、2020年10月に美味しい抹茶アイスをはじめとする静岡茶製品を販売する「ななや 静岡店」がオープンし、俄然、お茶の通りとしての存在感が増してきたようだ。

呉服アベニューにあるお茶の店は、前述の2店舗に加え、1781年創業の茶店「竹茗堂」、1865年創業の茶店「小山園」、静岡の製茶問屋である丸善製茶株式会社が運営するティージェラートカフェ「MARUZEN Tea Roastery」の計5店舗。まさに茶ベニュー

竹茗堂

「竹茗堂」は一番老舗だけあって風格のある茶店といった雰囲気。店の作りも昔ながらの茶商店といった趣で、少し工夫をすれば観光客に受けそうだと感じた。

小山園

小山園は店の作りは竹茗堂より小さいが、英語字幕のビデオを流したり、筆書の綺麗なパッケージの「名人茶」を販売していたりと、随所に工夫が見られて面白い。

MARUZEN Tea Roastery

MARUZEN Tea Roasteryは、「煎茶堂東京」や「東京茶寮」を手がけたLUCY ALTER DESIGNが店舗やコンセプトデザインをしただけあって、かなりモダンな店舗。メニューも抹茶アフォガードがあるなど、個性的である。

今の呉服町は、お茶の店を巡るだけでも結構面白い。特に街中でお茶をしたり、弁当を食べたり、休憩したりできる「ハニカムスクエアー」が完成したことで、店舗で買ったお茶ドリンクや抹茶スイーツをテイクアウトしてゆっくり食べることもできるようになったことは大きい。銀ブラならぬ茶ブラを楽しむことができるようになった。

盛り上がる呉服町 茶ベニュー。次回は新店舗「ななや 静岡店」をじっくり紹介してみたい。

つづく

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

シングル・オリジン・ティーを巡る冒険 #4 : シングル・オリジンと UL NDT その2

なぜ野点を行うのか。一番の理由は自分との向き合い。

他の人とピクニックのような野点を楽しむのも良いのだが、一品更屋の野点は独服、一人でお茶を点て頂くスタイルである。場合によっては焚き火で料理をし、自作のシリアルバーを菓子にする。普段は抹茶をいただく。

抹茶の野点の難しいところは、陶器の茶碗を持ち歩くのは重く気を使うことと、茶筅を持ち歩かなければならないということ。ウルトラ・ライト(超軽量)を美しとしていることを考えると道具が枷になってしまう。自由でないのは美しくない。

煎茶の場合はどうであろうか、茶を点てなくて良いので茶碗はいらない。もちろん茶筅もいらない。今回試したように茶葉とクッカーがあれば十分お茶を淹れられるのだから、野点としての美点は煎茶の方が評価できる。

だが問題は味だ。いくらウルトラ・ライトであったとしても、茶の味がまずければ、野点としての意味は薄れてしまう。自然の中に居、自然と対面し、自然を畏怖する自己。その思考と自然を繋ぐ触媒は、自然そのものでありながらすっと受け入れられる味が良い。苦い茶では味に感覚が削がれすぎる。

1回目に淹れた茶は温度が高すぎて苦く感じた。葉桐さんでお茶をいただいた時に感じた味を再現できれば、シングル・オリジンの野点が完成する。ウルトラ・ライトで味も良い野点。更屋流野点の新しいスタイルを完成することができる。

思い切って、葉桐さんでいただいた時のように常温の水を試すことにした。1回目同様にクッカーの蓋に茶葉を広げる。ウォーターバックからチタンカップに水を注ぎ、カップからお茶に水を注ぐ。山並みは横向きの光に照らされて一葉一葉が煌めきを増していった。時間をかけ、茶葉に水が行き渡っていく。

クッカーの蓋から再びチタンカップに注がれる時、水はとろりとした黄色のティーに変わっていた。

「旨い」

出汁のような旨みが口に広がり、香りが鼻腔を通り抜ける。うまみが残りながら緑の清々しさが増し、流れるように味に満たされる。調和。心に自然が流れ込み、自己と自然の調和が為される。人としての生命が自然と一体になることを感じる。水だけでここまでの味が出るものなのだ。

野点のポイントは飲むと言う行為にあるのだろう。自然の中で飲む。コーヒーでも良いのだが、やはりお茶、特に緑茶は調和を感じる。我ここに在り、我ここに在らず。己とは何か。

良いお茶を得ることができたのでアテを試してみる。温泉で購入したアンコウの干物をバーナーの火で炙り焼きにする。これをいただきながら、2煎目、3煎目と続ける。水出しのやまかいは味が落ちることなく飲み進めることができた。

山影が足先まで伸びるとあちこちに暗がりが育ちはじめ、やがて周りの全てを飲み込んで夜が訪れた。降り出した雨は、濡れた地面の匂いをまき散らしながら本降りとなっていく。世界が溶け出していくような激しい雨だった。

私はテントの中の暗がりで、ただ降り続ける雨の音を聞いていた。寝袋の中で、侘と寂をしみじみと感じながらそのまま眠りについた。翌朝、目が覚めると雨は上がっていた。

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

シングル・オリジン・ティーを巡る冒険 #3 : シングル・オリジンと UL NDT その1

静岡市清水区、興津川の上流には「キャンプ適地」と言われる、誰でも無料で泊まれるキャンプ場が2つほどある。無料なので売店があったり、食堂があったりということでは無いが、トイレと水場は付いており、ソロキャンでまったりするにはちょうど良い。むしろ、あまり便利すぎるキャンプ場というのは、便利すぎて何をしに山まで来たのかわからなくなるという矛盾のある場所なのだ。トイレや水場があるということだって、よっぽど贅沢だ。

この日は西里キャンプ適地にテントを張り宿泊しようと考えていた。バスを乗り継ぐつもりが乗り継ぎ先のバスが休日は運行していないということに気づいて唖然としたが、西里温泉の方にバス停まで迎えに来ていただき「やませみの湯」までたどり着き、湯に浸かって一息付いた後、また温泉の方に送っていただき、なんとか西里キャンプ適地へ到着した。旅ではいつも誰かに助けられる。今までの旅では優しさを学んできた。それをいつでも誰かに返せるようにしたいと思うのだが。

日曜の午後だったが、西里キャンプ場には沢山の人が溢れていた。緩やかな流れの川が近いので、テントを貼って夏の終わりの川遊びをしている人が多いようだった。日が傾き始めると、一組、また一組とテントをたたみ、4時を回る頃には私と焚き火をする二人組みの男、二組だけになってしまった。

日が暮れると面倒なので、手早くNemoの二人用テントを張る。ニンジャタープで屋根をかけ終え、気がつくと先ほどの二人組の姿はすでに無くなっていた。キャンプ場には私一人。秋の虫の声が辺り一面を埋めている。

まだ日が残っているうちに、試してみたいことがあった。葉桐さんからお土産でいただいたシングル・オリジンの茶葉があるので、これでシングル・オリジン野点をしてみようと思ったのだ。

一品更屋の野点は、ウルトラライトハイキングの考え方を取り入れている。ULハイクの徹底して無駄を削ぎ落とすという思想が侘び茶の教えと合致しており、現代において野点を行うにはULハイクのストイックさや使う道具を踏襲しないという手はない。もちろん、自由に野に出て歩き回り、気が向くままに茶を点てるには、超軽装の方が勝手が良いという実用的な面も大きい。

ウルトラ・ライト・野点、つまり UL NDT となる。

ヘリノックスのチェアゼロを広げ、SOTOのポップアップ・ソロテーブルを展開する。PRIMUSのバーナーにエバニューのチタンクッカーを乗せ、スノーピークのチタンカップを準備する。茶はシングル・オリジン「やまかい」にしてみる。

最初はお湯で淹れてみることにした。葉桐さんで教わった、皿出しスタイルで淹れてみる。

クッカーの蓋兼フライパンとなる容器に、細く美しい茶葉を広げ、お湯を沸かす。沸騰する前にお湯を止め、茶葉に注ぐ。温度は何度かわからないが、感覚的には80度ぐらいにはなっていただろう。茶葉が開くまで5分ほど待つ。

葉が開ききり、湯が濃い黄色になったところで、カップに注ぐ。専用の容器ではないのでどうしても茶葉がカップに入ってしまう。これは何か対処方法を考えなければいけない。まずは一煎目。

苦い。

味はしっかりと出ているが、エグ味が強すぎる。葉桐さんで頂いた際は温かなお茶でももう少し温度が低かったことを考えると、お湯が熱すぎたのだ。湯冷ましがあった方が良さそうである。一度カップにお湯を入れ湯を冷ましてから茶葉に注ぐ方法が良さそうだ。やまかい自体は味が安定して出ているため、二煎目、三煎目といただく。

小さい頃からお茶は熱いものだと思っていたが、これはどうしたものだろう。葉桐さんでいただいた際のあのお茶の味、その温度。口全体に広がる清涼感をもう一度イメージしてみる。

シングル・オリジン・ティー。どうやら既成概念との戦いが必要なようだ。

つづく

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

シングル・オリジン・ティーを巡る冒険 #2 : 葉桐さんに聞く その2

茶・茶・茶

立て続けにお茶をいただく。全てシングル・オリジン。

こんどうわせ

佐久間

香駿とやまかい

急須を使いぬるま湯で淹れたものも飲ませていただいたが、常温・皿出しの方が美味しく感じる。

摩利支

細かな味の違いはまだ表現できないが、個人的な好みは香駿。やや角がある味だが、爽やかである。

東頭、始まりの味

最後にいただいたのが、今回の目的でもある東頭。こちらも常温・皿出しでいただく。

バランスが良い。他のお茶が何か個性的な、味の角になる部分があるのに対し、東頭は旨味、風味、香り、深み、清涼感と全てのバランスが良く、口のこりが穏やかである。これが静岡のシングル・オリジン、始まりの味である。

もちろん、最初は単一農園・単一品種のお茶は沢山あったのであろう。しかし、大量生産の時代になると、手間がかかる上に少量しか生産できない、効率的ではないこのような生産方法の農園は廃れてしまった。だからこそ、清巳社長は葉桐にしか作れない香味を生産家の皆様と作り続けているのである。

工場の中を見学させていただき、近くの美味しい定食屋でお昼をご馳走になった後、営業の落合さんと共に、実際にシングル・オリジン・ティーが作られている農園を見に行くことになった。

厳しさが美味しさになる

茶園、東頭は標高800メートルの場所にあるという。昼夜の寒暖の差が大きいことが美味しいお茶ができる条件とのことで、東頭も寒暖差が激しく、冬には雪が降り積もるほどの厳しい自然環境だそうだ。

葉桐さんが契約している他のシングル・オリジン・ティーの農園もやはり山の傾斜地にある。平地で大規模な茶園があるような場所はそのために品種改良された茶葉が使われており、厳しい環境のような良い味は出ない。そのためか色や香りなどの誤魔化しが生じる。

「栄西禅師も聖一国師も山の中に茶の種を播いた」と落合さん。日本に茶を持ち込んだ二人がそのような場所に種を播いたのは、中国でも同じような場所で茶が育てられていたからだろう。つまりお茶本来の味というのは、厳しい環境でこそ育まれるものなのだ。手間もかかるし労力もかかる。それでも、そこでしか出せない味がある。

東頭では、一番茶を摘んだ後、茶の木を低く刈りそろえてしまうという。その後は手をかけない。自然そのままで、一年をかけて、木が自らの力で育って行く。昼夜の寒暖差が激しい場所で、夏の日照りを超え、冬の凍てつく寒さを耐えた、厳しい環境の中でもそれでも育とうとする茶の木の力。冬の間蓄えられ、凝縮されたその力が炎のように燃え上がるその瞬間。良い茶とは、そのような生命の輝きの瞬間が凝固した、生命の宝石のようなものなのだろう。

私はそのような景色を美しいと思う。

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

シングル・オリジン・ティーを巡る冒険 #1 : 葉桐さんに聞く その1

良い静岡茶とは何か。検索を駆使し探してたどり着いたのがシングル・オリジン・ティー。特に静岡のシングル・オリジン・ティーの中で評価が高いのが築地東頭(とうべっとうと読む)。本山の築地勝美さんが標高800メートルの茶園で育て、摘み、揉んだお茶だ。残念ながら築地さんは亡くなっているらしいが、今は甥御さんが後をついで畑と製法を守っている。

この築地東頭をはじめとする、静岡のシングル・オリジン・ティーを一手に扱っているのが株式会社 葉桐さん。シングル・オリジン・ティーを学ぶためには、まずはこの会社に話を伺ってみたいと考えた。早速葉桐さんに連絡を取り、残暑が残る某日、営業の落合さんと待ち合わせをして、足久保の本社工場へと向かった。

静岡市内から北西の方向へ、安倍川の上流に向かって走り、足久保川に沿って山間部へ入る。足久保川沿いの道の脇には茶園がポツポツと見え、鎌倉時代に聖一国師が播いた茶の子孫達が、今も濃い緑色で日に照らされている。

30分もかからず、葉桐さんの本社工場に到着する。

正面入り口から中へ入り、来客用の商談スペースに通していただく。荷物を降ろして(この日はキャンプ道具とPC2台が入った激重バックパックを持ち歩いていた!)一息付いている所に、Webサイトで見たことのある方が現れた。葉桐清巳社長である。

清巳社長のブログを見て「話を聞いてみたい!」と思っていたが、まさかこんなに早くお会いすることができるとは思わなかった。名刺交換をし席に座る。

席に座るとすぐに、営業の落合さんがお茶を淹れてくれた。淹れると言ってもお皿のような陶器に茶葉を置き、水を注いでいる。急須を使わず、お湯を使わずにお茶が入るのだろうか?

お茶を淹れていただいている間、清巳社長のお話を伺う。

日本茶シングル・オリジンの誕生

シングル・オリジン・ティーという言葉が無かった時代から、清巳社長は山間地の単一品種・単一農園のお茶に拘り続けてきた。清巳さん独特のこの拘りは、東頭の生産者、築地勝美さんとの出会いから始まったそうだ。築地さんの茶の育て方は他の生産者から見ると異質なもので、大量生産へ向かっていた当時のお茶の製法とは真逆といって良いほど大きな違いがあり、理解者は少なかった。畑の作り方や茶の育て方、蒸し方、揉み方まで、日本茶を作る根本が違っていたのだった。

畑に任せる。美味しいお茶は畑でできる。このような考え方は築地さんが畑で実践してきたことだ。この築地さんがいて、築地さんを認め、世に知らしめた清巳社長がいる。この二人の出会いがあり、日本茶シングル・オリジン・ティーが誕生した。

清巳社長の茶に対する考えも築地さんの思想を継いでいる。茶葉は畑で100%になる。あとは減点法でどんどん味が悪くなる。なので、いかにマイナスを作らないかというのが製茶工場の仕事。工場で良い味を作ると言う人もいるがそれは無理だと言う。

清巳社長の凄いところは、美味しいお茶は工場では作れないことを理解しているため、「畑」を徹底していること。契約農家と共に畑の土や肥料、茶の育て方まで、全てにこだわり、畑で美味しさを完成させる。美味しいお茶は畑で作る。非常にシンプルで当たり前のことだが、大量生産とは真逆の考え方のため、単一品種・単一農園のお茶を扱い始めた当初は、茶業に携わる者から理解されることはなかったそうだ。

やまかいをいただく

ここで、一杯目のお茶が出来上がる。「やまかい」。杯に濃い黄色の茶が注がれる。お茶というと緑色という印象だが、蒸しが浅いシングル・オリジンは黄色に仕上がる。

今までお茶で感じたことのない芳醇な香り。ひとくち口に含むと茶葉の味と共に、出汁でも入っているのかというくらい濃厚な旨味が鼻まで抜ける。甘みと塩みはあるが、苦味が全くない。ほんの少しを口に含んだだけなのに、何杯もお茶を飲んだ後のような充実感がある。

「旨い」

これが本当のお茶の味なのだ。

私たちが飲んでいるお茶の味とは何なのか

「大量生産のお茶は味がない。真っ暗な場所で飲んだら水と区別がつかない。」と、清巳社長。特に昭和の高度経済成長期に合わせたように深蒸しのお茶が広まったことで、一般に流通する茶の品質・味は格段とレベルが下がり、さらにペットボトルのお茶が流通するようになったことで、お茶は水のような味だと言う誤解が広がってしまった。

深蒸しはお茶の色は鮮やかで美味しそうに見えるが、茶葉本来の味は無くなっている。風味の消えた美味しいとは言えないお茶を、色々言い方を変えて売ろうとするのは不誠実だし、お茶の未来のためにも良くない。浅蒸しで充分酸化(酸化酵素)を止められており、味も最上のものになっているのだから、それ以上蒸しを入れる必要はない。

味が無くなっているお茶が一般的なお茶として認知された結果、紅茶や珈琲など、味や香りが強い飲料に押され、茶を飲む習慣が薄れた。茶葉の大量生産化に伴い、茶の生産効率は上昇したが、結果として茶の価格が下がる原因にもなってしまった。

逆に考えると、今まで大量に売られてきた粗悪なお茶が消え、淘汰され、本当に美味しいお茶だけが残る瀬戸際に来ているのかもしれない。それが悪いことなのか、良いことなのか、今の私には判断がつかない。

つづく

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

Tokyo Ocha Cafe Story #3:THE MATCHA TOKYO 表参道

表参道は流行の中心だけあって面白い店が多い。そんな街もコロナ禍においては大きなダメージを受けており、裏通りを歩くと空き店舗がチラホラと目立つようになってきた。もともとは休日・平日関わらず圧倒的な人出があったものが、突然客が途絶え、それが長引いている。地価の高さからいったら店舗運営が厳しくなるのも当然だろう。

そんな中で、お茶カフェは頑張っている。表参道は面白いお茶カフェが多い。

THE MATCHA TOKYO は、表参道をはじめ、新宿のNEWoMan、ルクア大阪と、良い場所に出店している人気の店だ。抹茶ドリンクを提供はしていてもオーガニックを扱っている店は東京では少なく、宇治、鹿児島、静岡の茶葉のブレンドというのも珍しい。

打ちっ放しを白く塗りこんだような店内は広々としており、正面のカウンターをメインとして椅子とテーブルがまばらに置かれている。カジュアルなカフェの雰囲気である。抹茶のパックも綺麗に陳列され、販売されている。

宇治と鹿児島の厳選した茶葉をブレンドした JAPAN PREMIUM 抹茶をホットでいただく。カウンター中央の釜でお湯が沸いており、柄杓で片口にお湯を注ぎ、一点一点お茶を点てるスタイル。片口から紙コップに抹茶が注がれ完成。仕上がりが茶碗ではなく、紙コップというのが面白い所。妙な和風感を残しすぎず、カジュアルに徹するのは好感が持てる。紙コップでいただく抹茶も美味しい。

知られていないことかもしれないけれど、抹茶も元々は行商や茶屋(現代でいうカフェのようなもの)で飲まれていた庶民のカジュアルなドリンクだった。その後、侘び茶が流行し、禅と結びついて、作法のある現在の茶道に至っている。

抹茶カフェというスタイルは、新しいように見えて、実は懐古的な、先祖返り的なノスタルジーの一つなのかもしれない。当時も疫病が流行ったりしたことだろうから、その合間に薬がわりに抹茶を飲む。時代が変わっても、昔の人と同じように抹茶に癒されている自分がいる。我々が求めるものというのは、本質的には変わっていないのだろう。

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

THE MATCHA TOKYO 表参道

渋谷区神宮前6-6-6
11:00~21:00
the-matcha.tokyo