シングル・オリジン・ティーを巡る冒険 #2 : 葉桐さんに聞く その2

茶・茶・茶

立て続けにお茶をいただく。全てシングル・オリジン。

こんどうわせ

佐久間

香駿とやまかい

急須を使いぬるま湯で淹れたものも飲ませていただいたが、常温・皿出しの方が美味しく感じる。

摩利支

細かな味の違いはまだ表現できないが、個人的な好みは香駿。やや角がある味だが、爽やかである。

東頭、始まりの味

最後にいただいたのが、今回の目的でもある東頭。こちらも常温・皿出しでいただく。

バランスが良い。他のお茶が何か個性的な、味の角になる部分があるのに対し、東頭は旨味、風味、香り、深み、清涼感と全てのバランスが良く、口のこりが穏やかである。これが静岡のシングル・オリジン、始まりの味である。

もちろん、最初は単一農園・単一品種のお茶は沢山あったのであろう。しかし、大量生産の時代になると、手間がかかる上に少量しか生産できない、効率的ではないこのような生産方法の農園は廃れてしまった。だからこそ、清巳社長は葉桐にしか作れない香味を生産家の皆様と作り続けているのである。

工場の中を見学させていただき、近くの美味しい定食屋でお昼をご馳走になった後、営業の落合さんと共に、実際にシングル・オリジン・ティーが作られている農園を見に行くことになった。

厳しさが美味しさになる

茶園、東頭は標高800メートルの場所にあるという。昼夜の寒暖の差が大きいことが美味しいお茶ができる条件とのことで、東頭も寒暖差が激しく、冬には雪が降り積もるほどの厳しい自然環境だそうだ。

葉桐さんが契約している他のシングル・オリジン・ティーの農園もやはり山の傾斜地にある。平地で大規模な茶園があるような場所はそのために品種改良された茶葉が使われており、厳しい環境のような良い味は出ない。そのためか色や香りなどの誤魔化しが生じる。

「栄西禅師も聖一国師も山の中に茶の種を播いた」と落合さん。日本に茶を持ち込んだ二人がそのような場所に種を播いたのは、中国でも同じような場所で茶が育てられていたからだろう。つまりお茶本来の味というのは、厳しい環境でこそ育まれるものなのだ。手間もかかるし労力もかかる。それでも、そこでしか出せない味がある。

東頭では、一番茶を摘んだ後、茶の木を低く刈りそろえてしまうという。その後は手をかけない。自然そのままで、一年をかけて、木が自らの力で育って行く。昼夜の寒暖差が激しい場所で、夏の日照りを超え、冬の凍てつく寒さを耐えた、厳しい環境の中でもそれでも育とうとする茶の木の力。冬の間蓄えられ、凝縮されたその力が炎のように燃え上がるその瞬間。良い茶とは、そのような生命の輝きの瞬間が凝固した、生命の宝石のようなものなのだろう。

私はそのような景色を美しいと思う。

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

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