Tokyo Ocha Cafe Story #1:伍(イツ)

伍(イツと読む)は青山通りから少し脇道を入った、和花屋の2階にある。

予め情報を知らなければ全く気づかずに通り過ぎてしまう。見えているのだけれども視線が止まることはない、そんな店だ。

ドアを開いて急な階段を登り、引き戸を開けると、カウンターが一つ、席は6つだろうか。漆喰が塗られた壁と、障子が張られた窓という最小の表現で和を演出しているが、雰囲気としてはカウンターBARに近い。釜で沸かされた白湯がうすはりグラスで供される。

メニューには10種の全国から集められた茶が並び、大きく煎茶と萎凋煎茶に分類されている。萎凋煎茶は収穫された茶葉を萎れさせることで酸化を進め、香りや味わいを強めた煎茶とのこと。せっかくなので、煎茶から大門茶(だいもんちゃ:岐阜県)と萎凋煎茶から白瑠(はる:埼玉県)の2種を飲み比べてみる。

亭主の玉井さんが武者小路千家で茶道を学んでいたこともあり、湯は茶道用の釜で沸かされ柄杓で取り扱われる。動作は茶道そのもの。宝瓶に茶葉が移され湯冷ましからお湯が注がれる。しばし時間を置き、大門茶の一煎目が入る。

大門茶は幡龍寺の跡地の石垣に沿って生える在来種を手摘みにしたもので、白川茶の起源に当たる希少なお茶。一煎目は柔らかな味で、青くささは無いが独特の香りがある。旨味が押し出して来る感じはないためインパクトは少ないが、スッと飲み込め喉越しが軽い。二煎目で香りの鮮やかさが増す。

白瑠は緑茶とは思えない香りの強さで烏龍茶を思わせる。茎まで付いた大きな茶葉そのままから淹れるのでエグ味が出るかと思いきや、全く渋みや臭みは感じられず鮮やかな香りが鼻孔に広がる。二煎目はお湯の温度が上がる。一煎目では閉じていた蕾が二煎目で花開き、香りがより色鮮やかになる。玉井さんが言うように「何杯でも飲めるお茶」だ。

「ハーブなどの後付けのフレーバーでは無く、茶葉本来の香りを楽しめる店にしたい」と亭主の玉井さん。確かにお店のある表参道近辺はカフェだけでなくお茶の店も多い激戦区。差別化は必要になるだろう。落ち着いた雰囲気の中でお茶の香りを楽しめるお店。生活に香りが必要になったらまた立ち寄ることにしよう。

一品更屋 更屋松柏

* このコラムは更屋松柏の個人的な意見に基づくもので、関係する企業・団体・個人の意見とは異なります。このコラムに関するご意見・ご質問は一品更屋までご連絡をお願い致します。

伍(イツ)

東京都南青山3-14-4 2F
月曜定休・12:00~19:00


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